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2011年3月10日 (木)

手塚治虫の新選組

 最近日本でも電子図書が少しずつ普及してきています.電車のお伴には本が多い私ですが,最近は電子図書を利用するケースも増えてきました.

 というわけで先日購入して読んだのが,本日の表題です.新選組をテーマにした漫画作品,しかもあの手塚治虫氏の作品です.

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 物語は,父親を土佐なまりの侍(雰囲気から土佐勤皇党の者か)に殺された少年,深草丘十郎が,父の敵を討つために新選組に入るところから始まります.この時彼と同時に入隊した隊士に,若くて恐ろしく腕の立つ剣士,鎌切大作がいて,二人は親友となります.物語は二人を中心に展開し,丘十郎は大作をはじめ,近藤勇,沖田総司らの指導もあってメキメキと剣の腕を上げていきます….

 新選組を題材にしてはいますが,少年のかたき討ちを中心に話が進むので,新選組そのものはあまり活躍しません.近藤勇は分別のある良い人に描かれていますが,芹澤鴨は典型的な悪人で,沖田総司はギョロ目で咥え楊枝(草?)のキャラです.また土方歳三はニヒルで睫毛が長い美男子ですが,それより年下のはずの大石鍬次郎がやたら老け顔なのが面白いです.作者は二人の目を通して新選組の運命や時代の流れを描きたかったらしいんですが,人気が出なったようで途中で連載が打ち切りとなり,そのため中途半端な形で終わってしまったのが残念です.

 しかし,この漫画が連載されていたのは1963年(昭和38年)で,司馬遼太郎燃えよ剣連載と見事に重なっています.考えてみれば,世間で新選組の人気が高まる大きなきっかけになったのがこの燃えよ剣です.そんな時代に,大人はともかく子供向けの漫画(本作は少年ブックに連載)で新選組を描いても,当時の子供に人気が出なかったのは仕方がないのかもしれません.とはいえ,そんな新選組がメジャーではない時代にこれを取り上げた手塚治虫氏,やっぱり凄いですね.本当はこの後どういう展開にするつもりだったのか,今となっては知る由もありませんが興味深いなと思ったのでした.

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コメント

おはようございます。

新選組コミック、今は状況が変わりましたが、昔はあまり大衆受け(笑)しなかったのか、打ち切りが多かったようですねぇ。
無理やり決着をつけたかのような結末だったり、いきなり終了してしまったり。
私がこの世界(どの世界だよ)にハマったきっかけとなったコミックも、いきなり終了したまま幾年月です。
続きがみたーーい >あさぎ色の伝説

投稿: 風雅 | 2011年3月10日 (木) 23:37

今は、新選組関連だと読みきれないくらいの本や、漫画がでていますが、当時は手塚作品でも、打ち切られる状況だったんですねΣ( ̄□ ̄;)驚きです。まだまだ若くはありませんが、新選組若輩者のワタクシメにお薦めの本等ございましたら、また、ブログで取り上げていただけると嬉しいです

投稿: おねえさま | 2011年3月11日 (金) 01:22

風雅さん

おはようございます.
今でこそ老若男女に人気で,いろんなアニメやコミック,ゲームがありますが,
たしかに自分が子供の頃の新選組のイメージって,殺伐としていて,人殺し・暗い・ヤ○ザの元祖といったイメージでしたから子供に受けないのは当然かもしれません.

>あさぎ色の伝説

少女マンガはそれほど詳しくないので未読です(笑 里中満智子さんにも新選組の作品があったような).
やっぱり打ち切りが多かったんですね.

投稿: ビザ皇帝 | 2011年3月12日 (土) 04:07

おねえさま

おはようございます.今では書店に行くと新選組関連本が溢れていますが,昔は本当に少なかったですね(坂本龍馬なら昔からたくさんありましたが 笑).
手塚治虫先生執筆でも打ち切りになったわけですが,逆に考えると手塚作品だからコミックがいまだに存在しているともいえますね.
私たちが知ることなく闇に消えていった新選組コミックというのも結構ありそうです
(そういう作品を発掘するのも楽しいかも).

新選組の面白そうな本はまた紹介しますね.

投稿: ビザ皇帝 | 2011年3月12日 (土) 04:12

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