イスタンブール滞在記6 ~9月5日~
イスタンブールネタをいつまでも引っ張ると,このブログのタイトルと矛盾してしまうので,今回が最終回です.
さていよいよイスタンブール最終日となりました.昨夜はディナーショーで帰りが遅かったこともあり,この朝はゆっくりです.「これがイスタンブール最後の朝食か」などと感慨に浸りながら朝食です.
この日はまだ行っていない史跡を見ながら歩くことにしました.まず向かうはトプカプ宮殿隣に広がるギュルハネ公園です.いつも大勢の観光客で大賑わいのトプカプ宮殿とは対照的に公園の方はいたって静かでした.しかし別に散歩のために公園に行ったわけじゃありません.実は公園の先端,マルマラ海と金角湾,そしてボスポラス海峡が一望できる岬に一本の柱が立っているんです.この街へやって来る観光客の99%はその存在すら知らないであろうこの柱,なんとこれ,この街がコンスタンチノープルにすらなっていなかった時代,ビザンチオン時代の史跡なんです.
3世紀,ローマ帝国が弱体化し始めた頃,しばしば帝国内に侵入してきたゴート人を打ち破った皇帝クラウディウス2世の功績をたたえて建てられた柱なんです.今はゴート人の柱と呼ばれるこの柱,当時はそのてっぺんにクラウディウス2世の像が載っていたと言われています.
(写真左) ゴート人の柱,(同右) 今は柱の上にはなにもありません.
その後,近くのオープンカフェでチャイをいただき,そのまま徒歩で海沿いを歩きます.向かった先はイスタンブールのヨーロッパ側の鉄道の終点,シルケジ駅です.ヨーロッパ各地からやって来る国際列車の終着駅で,かつて有名なオリエント急行もここが終点でした.
その後はガラタ橋で釣り客を冷やかしたり,橋の近くにあるエジプシャンバザールを見学したりして過ごしました.
その後は近くのカフェでランチを摂りホテルに戻りました.14時に迎えの車がやってきて空港へ.出国審査を経て飛行機に向かおうとセキュリティチェックに行き,「そういえば飲みかけの水が余ってた.こりゃ没収だな」と係員に差し出したら,係員さん手を振って「No problem」といって突っ返してよこしました.最近国際線はすべて液体物持ち込み禁止と思ってたんですが,そうでない国もあるようです(笑).
こうして機上の人となった我々は一路懐かしい日本へ向かったのでした.
追伸: 我々の帰国直後,イスタンブールを大雨と洪水が襲い,亡くなった方もいたとのニュースが流れました.自分の運の良さを実感するとともに,被害にあわれた方々が一日も早く元の生活に戻れることをお祈りしました.
これにて本ブログでのイスタンブールネタは一応終了します.今回の旅行の詳細はいつかホームページの旅行記に,また市内の各史跡の詳細は別館ブログビザンチン大学に載せてますので,イスタンブールやビザンチン帝国に興味を持たれた方はどうぞ.
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コメント
ビザ皇帝様 こんばんは!
さすが皇帝様、観光客の99%が知らない柱もちゃんと調査して懐かしんだんですね?←?
ずいぶんと高い所に像があったんですね。これだけ高いと何だか避雷針の役割果たしそうです。
こんなにイイ天気だったイスタンブール、ビザ皇帝様が帰国した後に天災に遭ったなんてビックリです。
早い復興を願わずにはいられませんね。
投稿: まーうさ | 2009年9月15日 (火) 15:20
<まーうささん>
こんばんは.今回は一般のガイドブックの他に,「イスタンブール歴史の旅」とか「ビザンチン帝国の旅」とか,普通の観光客が読みそうにない本をたくさん準備して計画しましたから,かなりマニアックなな場所も押さえてましたよ.
古代ローマ時代の柱,たしかにこれだけ高いと避雷針になったかも,クラウディウス2世の像が失われたのも落雷のせいかもしれませんね.
投稿: ビザ皇帝 | 2009年9月15日 (火) 17:14
こんばんは。 とうとうおかえりなさいの記事ですね。
全体的に一抹の寂しさが漂っていますよ。
それにしても、朝はゆっくり で14時迎えまでの間にも随分と回っていらして感心させられます。
クラウディウス2世の柱はかなり大きくて立派なのにそんなに知名度が低いのですか。
像が無いと価値もガタ落ちなのでしょうか?
ビザンチン大学の講義は受けたことがなかったのでこれからゆっくり学ばせていただこうと思います。
投稿: 琴 | 2009年9月16日 (水) 15:06
<琴さん>
イスタンブール最終日,やっぱり寂しかったですね.
この街には大きく分けてヨーロッパ側旧市街,ヨーロッパ側新市街,アジア側と3つの地域があるんですが,今回結局アジア側には行けずじまいでした(それだけ見所が多いと言うことですが).
いつの日にか再訪したいと噂しています.
クラウディウス2世を讃えた柱についてはほとんどのガイドブックに載っておらず,わずかに「イスタンブール歴史の旅」というマニアックな本に触れられていただけでした.
投稿: ビザ皇帝 | 2009年9月17日 (木) 15:11