昨日東北大学混声合唱団50周年記念演奏会が行われ,私も出かけてきました.晴れ男の私を歓迎するかのように仙台は快晴のよいお天気でした.ただ首都圏に比べるとだいぶ涼しく,もう秋の気配が感じられます.
(写真1) 外観は川内記念講堂時代と変わりません
会場となったのは大学川内キャンパス内にある萩ホール,旧川内記念講堂です.そのネーミングから一瞬建設にあたって長州藩の援助があったのか(笑)と思いましたが,実は仙台市の花が萩で,そこから来た名前のようです.
(写真2) 開演前から行列でした
旧川内記念講堂は昭和60年当時キャパシティでは仙台一を誇っていましたが,いかんせん施設が古く本格的なコンサートを開催するにはちょっとという感じでした.今回云年ぶりに中に入ったのですが,基本構造は以前と変わっていないものの,内装は見違えるほど立派になり面目を一新していました.
(写真3,4) 内装は見違えるように立派になってます
今回の演奏会は4ステ構成,1ステと4ステが現役団員のステージ,2ステと3ステがOB・OGのステージです.第1ステージは委嘱作品で混声合唱組曲「生命の進化の物語」,作曲は合唱団OBの長谷部雅彦氏,実は彼は私の一学年下でしたが,本作では作曲の他,作詞や本番の指揮も自らやるというワーグナーばりの活躍を見せていました.曲は壮大な時の流れをテーマに,人類の進歩と更なる繁栄を願うものでした.
第2ステージは昭和40年代に現役だった古いOB・OGの方々のステージ,当時の愛称歌の他,大中恩氏の私の動物園や高田三郎氏の水のいのちといった邦人作品の古典を演奏しました.指揮はOBの板橋憲一郎氏でした.
第3ステージは比較的新しい世代のOB・OGを中心としたステージ,曲は東北大混声のメインジャンルともいうべき宗教曲の小品で,モーツァルトのAve verum CorpsやJ.S.バッハのカンタータ147番の最終コラール,フォーレのラシーヌの雅歌などでした.指揮は合唱団常任指揮者の佐々木正利先生です.
そして第4ステージは再び現役団員のステージでした.曲はこちらも委嘱作品で,仙台市出身でドイツ在住の作曲家江村玲子先生による「きらめく世紀」という作品です.これも壮大な時の流れをテーマにした作品でした.指揮は3ステと同様常任指揮者の佐々木先生で,作曲者の江村先生がピアノを担当されていました.
会場ほぼ一杯の聴衆を前に2時間半にわたった演奏会は感動のうちに終了しました.
終演後は会場を移して交流会となります.既に還暦を過ぎた大OBから二十歳前の現役団員まで混ざっての交流となりました.合間には当然のように愛唱歌の合唱が入ります.数十年にわたって合唱団として歌い継がれている愛唱歌をともに歌うことによって,世代を越えた一体感を感じるのでした.他の機会にちょくちょく顔を合わせる仲間もいますが,云年ぶりの仲間との再開もあって感激もひとしおでした.
(写真5.6) 交流会の様子,私が抱えている酒は一の蔵という宮城県北の地酒です.この酒蔵が合唱団ゆかりの方で,現役時代花見やコンパで滅茶苦茶お世話になったお酒です.
考えてみれば,この合唱団には音楽を専門にやっている学生はほとんどいません(東北大学自身に音楽科が存在しない).にも関わらず,毎年オーケストラ伴奏付きの宗教曲を取り上げて演奏していました.この背景には先生から学生にというより,上級生から下級生に連綿と受け継がれるこの種の音楽の伝統というものがありました.私自身,大学入学までクラシックのしかも宗教音楽なんて聴いたこともなかったはずですが,諸先輩の薫陶を受け,また仲間内で集まっては,やれバッハのカンタータがどうしたとか,モーツァルトのこの作品はどうだとか,酒を飲みながら語り合い教養を身につけていったのです.
(写真7) 当時の仲間たちと.こうしてみてもみんなあんまり変わってません.
こんな仲間たちとの生活が,今に続く私の音楽生活の礎となっているのです.
我が素晴らしき仲間たちよ,本当にありがとう.
最近のコメント