日本100名城スタンプラリー27
日本100名城 足利氏館(15番)
日本100名城のなかで「~城」という名称がつかない城が5か所あります.北海道の根室半島チャシ跡群,五稜郭,九州の吉野ヶ里,以前ここで紹介した山梨の武田氏館,そして今回のテーマ足利氏館です.
足利氏は言うまでもなく武家の名族で,もとは清和源氏の流れを汲み,鎌倉時代には有力な御家人でした.ただ源家将軍滅亡後幕府を牛耳っていた北条得宗家とはやや距離を置いていたようです.
13世紀後半の二度の元寇の後,御家人の窮乏から国内が混乱に陥ると,政権を取り戻すことを画策していた後醍醐天皇が挙兵し,これに協力して倒幕実現に大きな貢献をした足利尊氏も足利氏の一族です. 足利氏の祖は八幡太郎源義家の三男源義国で,その子義康がこの地足利庄を領有し,以後足利姓を名乗ったとされています.そんな義康時代(12世紀半ば)に造られたのが,現栃木県足利市にある足利氏館で,現在は鑁阿寺となっています.
もちろんここは戦いのための砦ではなく,また大大名が自らの権勢を誇る場所でもありませんから,深い堀や堅牢な石垣,壮麗な天守などはありませんが,四方にめぐらした土塁や堀,門などから中世の武士の館の面影が覗かれます.境内には本堂や鐘楼などの重要文化財が多数並んでいます.
(写真3) 周囲を堀が囲んでいます
今はただのお寺であるこの足利氏館がはたして城なのかという議論はありますが,近世城郭だって為政者の住居としての側面が強いことを考えればこれも立派な城といえるのではないでしょうか.
また近くには日本最古の総合大学といわれる足利学校もあります.ここは古くは平安時代から存在するとされる学問所で,室町時代の15世紀ごろから隆盛し,戦国時代に来日したフランシスコ・ザビエルも,「日本国中最も大にして最も有名な坂東の大学」と記述しています.
いわゆるお城のイメージとはかなり異なりますが,日本史の中でもイマイチマイナーな室町時代が関連する史跡として見るべき価値はあると思います.
アクセス: JR両毛線足利駅から徒歩10分(案内標識あり),東武伊勢崎線足利市駅徒歩15分
スタンプの設置場所 お寺の本堂の販売所に置いてあります.
登城のハード指数(★☆☆ ハードではありません) 現在はただの歴史あるお寺です.
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コメント
足利学校は出張ついでに寄りました
土濠が張り巡らされてますから陣屋に転用可能で立派な城です
旧陸軍の造った相武台はゴルフ場運動場が陣地、兵站地になり滑走路付きで現代の城です。もしかして戦国時代の砦があったりして
投稿: Gustus | 2008年10月 5日 (日) 11:07
ビザ皇帝様 こんばんは!
「城」が付かない城では五稜郭くらいしか知りませんでした!
記憶の片隅に「足利学校」ありました!
こういうところなんですね?文章でしか見なかったので、今もあることにちょっと感動します。
うんうん、お城というよりお寺ですねぇ…
投稿: まーうさ | 2008年10月 5日 (日) 14:03
<Gustusさん>
コメントありがとうございます.
足利氏館の方も水堀に囲まれて,中世の武士の館の雰囲気が良く出ていました.
旧陸軍といえば北海道のオホーツク海沿岸北部を走っていた天北線に飛行場前という飛行場がない駅がありましたがこれは戦時中に旧陸軍の飛行場があったことに由来していたそうです.
投稿: ビザ皇帝 | 2008年10月 5日 (日) 17:59
<まーうささん>
城と名がつかないお城,なんか逆説的ですが存在します.五稜郭は文句なく城ですが,その他はイメージとしては住居という感じです.
足利学校はザビエルを通じて当時のヨーロッパにも紹介された日本を代表する大学だったんですね(実際にここの出身者は全国各地の戦国大名に召抱えられて活躍したようです).
投稿: ビザ皇帝 | 2008年10月 5日 (日) 18:03