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2008年7月 8日 (火)

外国人の目から見た新選組

 久しぶりの新選組ネタ.

 今日7月8日は旧暦の元治元年では6月5日になります.そう,新選組の名を一躍世間に知らしめた池田屋事件が起こった日です.

 さて,今年のひの新選組まつりの前夜祭でご一緒させていただいた,まりもさん(ブログ仲間のまーうささんのお友達)が翻訳された外国の方が書いた新選組本 

 新選組(SHINSENGUMI) 将軍警護の最後の武士団

 を読みました.

Shinsengai

 著者のロミュラス・ヒルズボロウ氏はカリフォルニア生まれで,日本にも長く住んでいた経験のある方のようです.この本を書くにあたって多数の参考文献に当たっています.

 歴史は勝者によって作られるといわれるように,新選組についての記録は決して多くありません.たとえば私達はテレビや映画の影響で,池田屋事件で沖田総司が肺結核の発作(喀血)を起こして倒れたということを知っていますが,これは事実として裏付けられているわけではありません.また慶応2年の総長山南敬助の死についても,脱走→切腹という世間に流布している話の真偽も,実は不明です.

 作者はこのように新選組に関する資料が断片的であることを認めた上で,「この本はノンフィクションであるとは言えない」と断っています.

 内容は幕末の政治情勢から筆を起こし,浪士組の結成から池田屋事件,鳥羽伏見の戦いなどほぼ歴史に沿って展開していきます.ただそこは外国人が書いたものであり,私達日本人とはちょっと違った視点が感じられます.

 たとえば,”徳川幕府の法律では,庶民が無礼を働いた場合,武士は速やかに厳しい懲罰を与える絶対的権利を持っていた”(本書より引用)とあります.これは「斬り捨て御免」などといわれて私達も聞いたことがある話です.しかし実際には制度としてそのようなものがあったとしても,そう簡単に斬り捨て…などとはいかなかったのが事実のようです(もし本当に武士が町人を無礼打ちした場合,当然奉行所などの取調べがあるし,また無礼打ちを行ったのが他藩領内だった場合には大問題になる).

 また著者は近藤勇や土方歳三が浪士組に参加して上洛したことを,「力を手に入れるという不屈の意思に突き動かされて」と書いていますが,実際に浪士組参加時点で二人にそれほどの意思があったのかは疑問です.

 とはいえ,書かれている内容はトンデモないものはなく,よく研究されていると思います.ちょっと新鮮な新選組本としてぜひ読んでみていいのではと思いました(著者は幕府方では勝海舟を非常に高く評価しています).

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コメント

ビザ皇帝様 こんばんは!

まりもさんの本、紹介していただきありがとうございます!!
今さっそくメールしましたよ!
きっとまりもさんも喜んで下さると思います。
私も読みましたが、確かに本当の意味で「客観的に見た新選組」なのかな?と思うところはありました。ビザ皇帝様おっしゃってる「斬り捨て御免」のあたりは特に「うーむ…」と思いました。
私が見た新選組はハイタッチしたりパリに行ったりしてるステキ~な新選組ですが(笑)写真や動画などで残ってるワケじゃないからどうとでも推測できるんですよね。真実は本人達が空へ持っていってしまって分からなくしてるのかもしれませんね。

投稿: まーうさ | 2008年7月 8日 (火) 16:06

 ビザ皇帝様、こんにちは。
 さっそく本のご感想を書いてくださり、ありがとうございました。歴史にお詳しいビザ皇帝様ならではのコメント、勉強になります。
 確かに本書での勝海舟の評価は高いですね。ただ、私生活の点では、世の女性たちからブーイングが起こりそうです(笑)

 あと、上記のまーうささんのコメントにも感謝します。

投稿: まりも | 2008年7月 9日 (水) 10:11

<まーうささん>
 こんばんは.仰るとおり記録が断片的だからこそ,想像をふくらます余地があって楽しいんですね.新選組のドラマや小説がいろいろあって面白いのも,本当のところどうだったのか誰もわからないからだと思います(実際に新選組隊士が土方歳三の命でパリに行っていなかったという保証はありませんから 笑).

<まりもさん>
 ご訪問ありがとうございます.素敵な本を紹介いただきありがとうございました.100名城旅行のお供に少しずつ読ませていただきました.
 外国人の視点から見た新選組,結構新鮮(シャレじゃないですよ)で面白いですね.勝海舟は確かに男冥利に尽きるのかもしれません(笑).

投稿: ビザ皇帝 | 2008年7月 9日 (水) 15:29

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