ラ・セーヌの星
今日7月14日はフランスの革命記念日です.
1789年のこの日,市民がパリのバスチーユ監獄を襲撃,これが全国に波及してフランス革命がはじまりました.日本ではクレール監督の戦前の映画”Quatorze Juillet”の邦題である「巴里祭」の名でも知られています(もちろんこれは日本人が勝手につけた名前であり,現地にそういう名前のお祭りがあるわけではありません).
さてフランス革命を題材にしたアニメといえば,なんといっても池田理代子さんのベルサイユのばらが有名ですが,それとはちょっと違ったテイストなのが本日の表題,ラ・セーヌの星です.放送されたのが1975年(昭和50年)ですから,なんとアニメ作品としてはベルばらよりも古いことになります.シモーヌというパリの花屋の娘が主人公で,昼間は可憐な少女ですが,夜になると仮面の剣士ラ・セーヌの星となって盗賊や庶民を苦しめる横暴な権力者と戦うというお話です.ベルばらがオスカルやマリーアントワネットら貴族中心に展開していくのと対照的に,こちらはパリの下町の人々が中心で,庶民=虐げられるかわいそうな存在,貴族=横暴な権力者という構図が見られます(王妃も贅沢ばかりする悪い人っぽいイメージで描かれます.もちろん一部に良い貴族もいます).
これだけならただの勧善懲悪もので,別にフランスを舞台にする必要もないんですが,実はシモーヌがフランス王妃マリー・アントワネットの腹違いの妹という設定がされているのです(マリーの母マリアテレジアは道徳的にむちゃくちゃ厳しい人だから,もし本当に夫フランツ1世に隠し子がいたら,当時敵国だったフランスに隠すというのはありそうな話である).番組前半は勧善懲悪時代劇っぽい感じで進んでいきますが(熱気球を発明したモンゴルフィエ兄弟やパリ滞在中のモーツァルトも出てきます),後半物語は一気に緊張感を増します.三部会の召集から国民議会の結成,バスチーユ襲撃と歴史的事実にそって展開,これまでの市民=弱者,貴族=強者とはいえない状況になってきます.善と悪の境界がはっきりしなくなりシモーヌも自分の役割について悩みます(出生の秘密も知ってしまい悩みが深まります).
(写真) ラ・セーヌの星,一部でヤッターマンに出てくるドロンジョ様の若い頃という噂があった
作風の変化は途中で監督が代わったためとのことですが,かなり見ごたえのある作品だったと思います(ぜひまた見てみたい).どうでもいですが,設定や登場人物からシモーヌは1760年頃の生まれと思われ,そうすると最終回マリーアントワネットが処刑される時30過ぎになっているはずなんですが,とてもそうは見えません(顔認証ではビールが買えそうにありません 笑).
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コメント
ビザ皇帝様 こんばんは!
私は幼かったので「ベルサイユのバラ」と「ラ・セーヌの星」の区別つきませんでした。
改めて絵を拝見したら、今度は「ヤッターマン」との区別が付かなくなりました(爆笑)
30過ぎぃ???
タバコはもちろんの事、お酒も買えなさそうですよね!
あ、今度ぜひこのイラストで顔認証を←こらこら!
投稿: まーうさ | 2008年7月14日 (月) 14:54
<まーうささん> こんにちは.マンガだからと言ってしまえばそれまでですが,年月がたっても容貌が変わらない点が素敵です(サザエさん状態).
この番組が放送されていた時,私は小学校低学年だったので,イマイチ記憶がはっきりしない点があるんです.どこかで再放送してくれないか期待しています(1~2年前にYahoo動画で配信していたという噂がありました).
投稿: ビザ皇帝 | 2008年7月15日 (火) 06:58
マリーアントワネットと主人公が姉妹??冬のソナタもびっくりな設定どす。
シモーヌが
ドロンジョの若いころって。
この頃から生きているんですか!
ドロンジョ様は~!!(^^)
あー。モーツァルトで思いだしましたが。
オーストリアでモーツァルトの扮装できる
とこがあるそーです。もしオーストリアへ
行くようなことがありましたらぜひぜひ!
投稿: フミヲ | 2008年7月15日 (火) 09:46
気になってyou tubeで探してみました。
ありましたー!すごいぜ、you tube!!
http://jp.youtube.com/watch?v=EWvAJL0U__8
オープニングからセリフ入り
ドラマティックすぎる・・。
しかも主題歌歌っているのフランスの方?
でもってもっとすごいのは機動戦士ガンダムの富野氏が監督していることだー!!
投稿: フミヲ | 2008年7月15日 (火) 13:08
<フミヲさん> 連投ありがとうございます.花屋の娘と王妃が実は姉妹という凄すぎる設定なんですが,この作品結構はまると思います.オープニングの「フランス大革命の前夜,花屋の娘として育てられた美少女シモーヌは…」というナレーションと,その直後の「マリーを殺せ!」というセリフが幼心に衝撃的でした.ガンダムの冨野監督は後半の革命期を担当していて,作品の緊張感がムチャ凄いです.
オーストリアでモーツァルトの扮装ですか,面白そうです.そういえばテレビで見たんですが,ドイツのどこかの町で十字軍時代の扮装でパレードをするという,十字軍まつりというべきお祭りをやっていました(甲冑を着た人や僧侶の格好の人などたくさん参加していました).参加してみたいです.
投稿: ビザ皇帝 | 2008年7月16日 (水) 06:40