赤い月
本日の表題,なかにし礼さんの小説のことではない.昭和52年に放送されたNHKの少年ドラマシリーズの一作品である.
少年ドラマシリーズはちょうど私が小学校高学年ごろに放送されていた小中学生向けのドラマシリーズである(毎週月曜~木曜の夕方6時台).作品ジャンルは多岐にわたっていたが,特に眉村卓,光瀬龍らの原作によるSF諸作品が非常に魅力的で,私がSFにハマるきっかけとなった(私が新選組と出会うきっかけとなった,眉村卓氏原作の「幕末未来人」も少年ドラマシリーズだった).
この「赤い月」はそのシリーズの中でもちょっと異色の作品だった.原作はあのミステリー作家松本清張(高校殺人事件の題名で出版),主人公である高校生の近辺で殺人事件が発生する.当初は偶発的な事件かと思いきや,その背景にはより大きな組織(旧日本軍の莫大な財宝)が関係していたという展開である.タイトルの赤い月は殺人現場となった学校裏手にある沼地から見た月が赤かったことに由来していた気がする.オープニングテーマがトランペットの独奏曲で,サスペンス感を盛り上げているなど(あの音楽,ぜひまた聴きたい.どこかに音源が残っていないだろうか),もう一度見たい作品ではあるが残念ながらDVD化はされていないようだ(ヒロインの女の子がムチャクチャ可愛かった記憶がある).
ドラマでは赤い月と殺人事件をオーバーラップさせて幻想的な雰囲気を盛り上げていたが,月が赤く見えるのは別に何かの予兆ではなく単なる自然現象である.大気中に水蒸気やチリなどが多く含まれると,月の光のうち波長の短い成分(紫に近いほうの色)が乱反射されてしまい,地上の観測者には赤色主体に見えるという寸法である(ちょうど朝日や夕日が赤いのと同じ理屈).
先日帰宅しようとして見えた月が赤かったことからこの話を思い出した次第である.
(写真) 東の空にかかる赤みを帯びた満月
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