2月29日
今日はほぼ4年に一度の2月29日である.ほぼというのは,うるう年は原則として西暦で4で割り切れる年に設定されるのだが,100で割り切れる年には設定しないためである(ただし400で割り切れる年には設定される.これがため西暦2000年はうるう年だった).
4年に1回しかないとはいえ,この日に生まれる人もいるわけで当然誕生日が2月29日という人が存在する.子供の頃は2月29日生まれの人は4年に1回しか年を取らないのかなどと思っていたのだが,法的には3月1日として処理するらしい.
さて,そんな2月29日生まれの有名人として作曲家のG. ロッシーニがいる.歌劇「セビリアの理髪師」,「チェネレントラ(シンデレラ)」,「ウイリアム・テル」などの作曲家として有名だ.彼はイタリア出身であるがヨーロッパ各地で活躍し,その作品は大人気を博していた.それがために同時代の作曲家の妬みも買ったようで,あのベートーベンも友人に愚痴をこぼしている.
ロッシーニは76年の生涯の中で,作曲として活躍していたのは前半生のみで,37才のときに「ウイリアム・テル」を作曲すると,以後はオペラ作曲の筆を折り,残りの40年は食っちゃ寝の生活をしていたという羨ましい人生を送っている.尤もまったく作曲をしなかったわけではなく,私的にはいくつか書いている(私も好きな小ミサ・ソレムニス)は彼の晩年の作品である).彼はまた作曲が早かったことでも知られている.オペラの作曲というと時間がかかって大変そうというイメージは,後のヴェルディやワーグナー以降の話で,ロッシーニの時代にはウケるオペラをいかに早く書くかが大事だったのである.あの名作「セビリアの理髪師」をロッシーニはわずか3週間で作曲したのだが,ある人がそのことを同時代の作曲家ドニゼッティ(ルチアや愛の妙薬で有名な作曲家)に言ったところ,「そりゃそうさ,それだけ彼は怠け者だってことだ」と答えたという(ドニゼッティもまた,筆が早い作曲家だった.そのためオーケストレーションが結構陳腐で,後にワーグナーに大きなギターと揶揄されている).
結局1868年に滞在中のパリで亡くなったのだが,死因は大腸がんといわれている.今残されている彼の肖像画を見ると,恰幅がよく今風に言えばメタボリックシンドロームのようだ(高血圧や高脂血症もありそう).食生活と大腸がんは関連があるといわれており,彼の場合もそうだった可能性はある.
わが身を振り返ってみると,そろそろお腹に余計なものが付着して来ているようで,ロッシーニの後半生は羨ましい一方,まねしてはいけない生活とも思えるのだった.
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コメント
ロッシーニは2月29日生まれだったのですね。知りませんでした。皇帝閣下、さすがです☆
ロッシーニはいかにもイタリア人という風貌ですが、確かに今で言うメタボ体型ですね(^^;
でも、中学のころ、音楽室に飾ってあるロッシーニの肖像画を見て、かっこいい人だなあと思ったのも事実です♪
『弦楽ソナタ』などを聴くと、彼が一流の作曲家であることはよくわかりますよね。いかにも愉快な人らしい風貌とは裏腹に、ベートーヴェンを『偉大な音楽家』、モーツァルトを『唯一の音楽家』などと評したという、鋭い面ももっているように思います。
投稿: あまでお | 2008年3月 1日 (土) 23:50
あまでお様こんにちは.ロッシーニに限らずイタリア系の作曲家は恰幅のいい人が多く(プッチーニもそうですね),逆にドイツなど北国系は栄養の悪そうなイメージがあるのは土地柄でしょうか.
ロッシーニというとオペラ・ブッファなど愉快な作品というイメージですが,思うに彼にとってもオペラ作品はあくまでも飯のタネだったのかもしれませんね.晩年の宗教作品など個人的な動機で書かれたものは,また一味違った作風という印象がありますから.
音楽室の肖像画,小学校低学年の頃は歴代の校長先生なんだと勝手に思ってました(端っこの山田耕筰なんかは最近の校長,バッハなど肖像画の人は大昔の人だと 笑).
投稿: ビザ皇帝 | 2008年3月 2日 (日) 08:50