エレベーター
私の職場は病院であり,当然のごとくエレベーターがある.しかも車椅子の人も利用することから,車椅子用のボタンもあったりする.
写真を見ていただくと分かるが,向かって左にある縦長のプレートが一般用,右側が車椅子用のボタンである.どちらのボタンを押しても目的の階に行けることに変わりはないのだが,実は微妙な違いがある.それはドアが開いている時間の長さ.一般用のボタンで目的階に到着すると,4~5秒(人ひとりが乗り降りする程度の時間)で閉まってしまうが,車椅子用ボタンでは10秒以上開けっ放しになるのである(車椅子の場合は乗り降りに時間がかかることが予想されるための設定と思われる.これは呼び出しの際も同様).
一般に日本人はせっかちといわれ,エレベーター内では早く行きたいのか,盛んに閉るボタンを押している人を見かける.一方ヨーロッパのエレベーターには閉るボタンがないところもあり,1980年代の地球の歩き方には,「エレベーターで閉るボタンを押しているのは日本人だけだ」という記載があったのだが(1991年に自分がヨーロッパに行った際の印象も,たしかにそうだった),21世紀に入ってからは,閉るボタンを押すヨーロッパ人も珍しくなくなった気がするが,世界的にせっかちになったのだろうか?
ところで職場のエレベーターを利用していていつも思うのだが,乗り込んできた人の8割以上が車椅子用ボタンを押しているようだ(利用者の8割が車椅子というわけではない).ドアが開いて乗り込むと,ちょうど車椅子用のボタンが目に入るためと思われる(一般用はちょうど死角に入ってしまう).特に高齢の方にこの傾向は顕著なようだ.先に述べたように,車椅子ボタンを使うとドアの開閉時間が長くなる.かくして,せっかちな人たちが,閉るボタンを盛んに押すという光景が繰り広げられるのである.ちなみに,一般用ボタンを使うと,閉るボタンを押す必要がないほど短時間でドアが閉るのだが,一般に知られていないらしく,それでもみんな盛んに閉るボタンを押している(中にはもう閉りかかっているのに,ボタンを押す人もいる).聞いたところでは,閉るボタンを押すだけで,1回何円かの電気代がかかるんだそうである.1回数円でも1日に押される閉るボタンの回数は膨大なものと思われ,馬鹿にはできない.省エネが叫ばれる中,急ぐときは一般ボタンを使って,閉るボタンを押さないよう心がけたらいいのかもしれない(一番は,歩ける人はなるべく階段を使うことであろうが).
追伸: このネタ,以前職場の講演会でオマケとして話したら,結構みんな感動していた(笑).ちなみに全ての機種のエレベーターが,同様の構造というわけではないようですので念のため.
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