クリスマスオラトリオ本番
一夜明けて,今日12月23日はいよいよクリスマスオラトリオの本番である.リハーサルは午後からというわけで,午前中は台湾最大の見所”故宮博物院”を訪ねた.ここには清朝の宮殿(紫禁城)に秘蔵されていた中国歴代王朝の秘宝が展示されている.元々は北京の紫禁城にあったのだが,1931年の満州事変から始まる戦乱のため当時の国民党政府によって南京,その後中国各地にに疎開させられた.その後国共内戦で敗れた国民党政府が1948年に台湾に持ち去ったものである.現在北京にも同名の故宮博物院があるが,所蔵品の質では台湾の博物院の方がはるかに上といわれている.収蔵品の数は約70万点近くといわれており,ルーブル美術館などと同様,まともに見学しようとしたら1週間はかかりそうな感じだ.今回は時間がないので,ガイドに案内されて駆け足で見学した(団体旅行最大の欠点である).
故宮博物院にて,団体旅行のバッジをつけています.普段個人旅行ばかりの私には珍しいショットです.
博物院の見学後は市内のレストランで昼食を摂り(2回目の中華料理),そのまま演奏会会場である”懷恩堂”という市内の教会に向かった.ここはバプテスト教会で,あの李登輝前総統もここの教会員らしい.会場となる礼拝堂はなんとなく体育館のような広々とした造りだった(座席も2階席まであった).
2時過ぎからリハーサルとなったが,練習の方はともかく,2階席最前列に設置された巨大ライトが眩しくて困った(今回のクリスマスオラトリオは台湾初演らしく,テレビカメラも入るというウワサだった).リハ終了後着替えとなり,3時45分に舞台袖の廊下に待機しいたら,指揮者のシュマルフス氏がニコニコしながらやってきて,「ガンバリマショウネ」といっていた(シュマルフス氏は日本語が堪能である).
これが今回の演奏会のパンフです(巴赫=バッハ,聖誕神劇=クリスマスオラトリオ).
さあ,そしていよいよ入場,客席は満員である.台湾人ソリストとシュマルフス氏が入場するとひときわ大きな拍手が起こった.
クリスマスオラトリオは全6部からなるが,今回演奏されるのは前半の1部から3部までである(12月25日用,26日用,27日用).第1部の冒頭合唱はティンパニーと3本のトランペットが活躍する祝典的な楽曲だ.シュマルフス氏のテンポの良い指揮に乗って軽快に始まる.”Jauchzet, frohlocket, auf, preiset die Tage,”(歓呼の声を挙げ,喜び躍れ,いざこの日々を).
その後レシタチーヴォ,アリア,コラールと粛々と演奏そのものは順調に進んでいったが,気になったのは客席の方.演奏中なのだが,客の出入りが激しい.指揮者を見て集中しようと務めたのだが,どうしても視野に人の動きが入ってしまい,集中し切れなかったのがちょっと残念だった.今回の演奏会はエバーグリーン交響楽団の演奏会というより,懷恩堂のクリスマスコンサートのようで,聴衆は教会の方々が多かったらしく,あまりクラシックのコンサートには慣れていないのかもしれなかった.
それでも演奏後には大きな拍手が起こり,こうしてクリスマスオラトリオの台湾初演は無事に終了した.
終了後にはシュマルフス氏もお迎えして,市内のレストランで打ち上げ夕食会が行われたのでした(3回目の中華料理).
その後は台北名物(?)の夜市に繰り出した我々であった(アジア的な熱気に包まれた繁華街でした).
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