東ローマ帝国再放送
ものすごく久しぶりのビザンチンネタ.
最近このブログのアクセス解析で,「東ローマ帝国 BS i」というキーワードが急増している.なんだろうと思って調べてみたら,どうやらBS i で”東ローマ帝国~繁栄と滅亡・皇帝たちの軌跡~”の再放送が行われているらしい(いったい何度目の再放送なんだろう).今回は毎週木曜日の夜8時から放送しているようだ.
BS i の”東ローマ帝国~”は中世に東西世界の中間にあって,1000年の長きにわたって存在し,繁栄と衰亡を繰り返した大帝国(東ローマ帝国)の物語である.東ローマ帝国とは,このブログのタイトルにもなっているビザンチン帝国とほぼ同義語である(ビザンチン帝国の歴史についてはHPの私の拙文ビザンチン帝国についてを参照下さい).普段ビザンチン皇帝を名乗っているものにとっては見逃すことのできない番組で,私も以前の放送を録画したものを時々見ている.番組は全5回のシリーズで,帝国史上重要な役割を果たした皇帝にスポットをあてた構成となっている.当時の帝国の中心部であったトルコやギリシャはもちろん,イタリア,ウクライナなど周辺国にも取材し,豊富な映像をちりばめた造りとなっており,TBSの木村郁美アナの司会で,一橋大学の大月康弘教授(本放送時は助教授)の解説,さらには夏木マリ氏の朗読を交えながら進行していく.全5回の構成は
第1話 もうひとつのローマはこうして作られた
都をコンスタンチノープルに移したコンスタンチヌス1世の話である.当時4分割されていたローマ帝国の中で,コンスタンチヌス1世が当時は異教とされていたキリスト教を取り入れ,帝国の覇権を争うトーナメント戦に勝利して,帝国を再統一し,やがて東の地に新しい都コンスタンチノープルを建設する様子を描いている.
第2話 最強の皇帝が残した華麗なる芸術
西ローマ帝国の滅亡後,地方の農民出身でありながら,志を掲げて都に上り,軍人として活躍し,ついには皇帝にまで上り詰めた6世紀のユスチニアヌス1世の物語である.内政的にはニカの乱など波乱含みでもあったが,后妃テオドラの助けもあり,彼の時代に帝国はその最大版図を記録した.文化的にも国内各地にモザイク画が作られた.
第3話 帝国の黄金期に潜む陰謀と策略
帝国の最盛期である10~11世紀のマケドニア朝の諸皇帝の話である.元々ビザンチン皇帝位は必ずしも世襲ではなく,運と実力があれば誰でもなることができた.しかし社会が安定してくると,次第に血統を重視する考えもでてくる.そして血統と実力を兼ね備えた皇帝バシレイオス2世が登場し,帝国は最盛期を迎えた.
第4話 十字軍に救いを求めた大国の誤算
12~13世紀の十字軍の時代である.11世紀後半小アジアにセルジュク・トルコが勃興し,国内では内乱が起こるなど帝国は危機を迎える.この時久々に軍人から皇帝になったアレクシオス1世は国内の政治体制を一新するとともに,西方世界に救援を求めた.こうして十字軍が始まり,その間隙を縫って帝国は勢力を盛り返した.しかし,それはまた滅亡の始まりでもあった.
第5話 滅びゆく「全世界の支配者」
14~15世紀のパライオロゴス朝の諸皇帝の物語である.かつての栄光を失い小国に転落した帝国に,東から新興国家オスマン・トルコの脅威が迫る.滅亡の危機の中,皇帝マヌエル2世,ヨハネス8世は西方に救援を求める旅に出た.しかし援軍はなく,帝国はついに最後の日を迎える.
東ローマ帝国(ビザンチン帝国)最後の皇帝コンスタンチヌス11世(私の先祖です ウソ).
昨日はこのうち第3話の再放送(再々々々放送くらいか)であり,久しぶりにじっくりと見たのでした.
追伸: BS-i はTBS系である.TBSといえば最近の亀田家騒動を始め,ゴルフの石川遼選手の肉声盗聴未遂事件,朝ズバでの不二家捏造事件などブラックな話題が豊富な放送局である(古くはオウムビデオ事件や石原都知事の発言捏造事件なんてのもあった).しかし,BSの世界ではBS-i はこの「東ローマ帝国~」をはじめ,良質な番組を多く放送していると思う.このギャップは何なのだろうか.関わっているスタッフが違うのだろうが,BSではあまり視聴率を気にしなくてもいいからだろうか(だから思い切った番組が作れるのか?).地上波のTBSの惨状とBS-i を比べると,とても同じ系列とは思えないのだった.
| 固定リンク
コメント