下弦の月
さっきふと外を見たら月が出ていた.向かって右半分が欠けた半月,いわゆる下弦の月である.
柴咲コウさんの歌う「月のしずく」という曲がある.しっとりとした雰囲気を醸し出す,私も好きな名曲であるが,そのサビの部分に”下弦の月が浮かぶ~”という部分がある.実はこれ,非常に意味深い歌詞である.
その昔天体少年だった私は,天気がいい夜などは天体望遠鏡を引っ張り出して,月や惑星を観察していた.そんな少年時代の私にとって,下弦の月は逆三日月とならんで憧れの月なのであった.俗に言う半月には上弦の月と下弦の月という2種類がある.このうち上弦の月は夕方南の空にぽっかりと浮かんでいて,夜半には西の空に沈んでいく,おなじみの半月である(向かって左側が欠けた半月).それに対して下弦の月は夜半に東の空に姿を現し,明け方に南中するため,夜8時か9時には寝なければならなかった当時の健全な小学生には絶対に見ることのできない月なのであった.つまり月のしずくでいう,下弦の月が浮かんでいる時間帯とは夜半過ぎ,つまり午前様状態なのであり,思いっきり大人の雰囲気を醸し出した歌詞なのであった.
天体少年もいつか大人になり,下弦の月が当たり前に見られるようになったのでした(もっとも現代社会は夜が明るく,また忙しくなってしまったため,逆に上弦の月が見難くなったかもしれない).
追伸: 逆三日月とは新月の3日位前の月(月齢26)で,明け方近くなってようやく東の空に姿を現す,逆型の三日月のことです.見られる時間が限られているため,難易度の非常に高い月です(冬などは健全な生活をしている人なら早起きして見られるかも).江戸時代には二十六夜待といって,夜通し酒を飲んで騒ぎながら,夜明けのこの逆三日月の出を待つという企画があったようです.ちなみに今年の二十六夜待は9月7日なのだそうです.
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