旅人の木
マダガスカルはアフリカ大陸からモザンビーク海峡を隔てて400kmに位置しており,なんとなくアフリカ大陸の付属品のイメージがあります(東アジアの日本,ヨーロッパのイギリスのような).しかし,マダガスカル島は大昔,ゴンドアナ大陸という今のアフリカ,南米,南極,インド,オーストラリアなどが一体化した巨大な大陸の一部であったといわれています.そして歴史的にマダガスカルは,今から1億5000年前にアフリカ大陸から分離し、その後5000万年位前にインドなど南アジアから分離したといわれています.すなわち人類誕生のはるか昔に他の大陸から切り離され,しかもアフリカと分かれた歴史よりアジアと分かれた歴史の方が新しいわけです.このため,マダガスカル島は生物学的にはアフリカよりむしろアジアに近いという特徴があります.マダガスカルを代表する動物であるキツネザルがアジアには生息しているのに,アフリカにはいないのはそのためです.
マダガスカルは大昔に他の大陸から切り離されたために固有種(他にはいない,その場所独自の生物)が多いことでも有名です.マダガスカルの固有種で,代表的な植物といえばなんといってもバオバブですが(世界には8種類のバオバブがありますが,そのうちなんと6種類がマダガスカルの固有種です),ほかにも魅力的な植物があります.
マダガスカル写真シリーズ12 植物編
マダガスカルにしか生息していない植物として三角椰子があります.その名の通り,三角形をした椰子の木です.こんなのその辺にいっぱい生えていそうな気がするんですが,実はマダガスカル南東部のフォール・ドーファン付近の珍しい椰子なのでした.
扇のような形をした三角椰子です.マダガスカルの南東部に自生する珍しい椰子だそうです.
更に,マダガスカル独自の植物として”旅人の木”という木があります.和名としてオオギバショウ(扇芭蕉)という名前もあるんですが,英名”travelers tree”の訳である,この”旅人の木”の方がずっと風情があるような気がします.
名前の由来については2つの説があり,ひとつは葉っぱが東西方向に伸びるという性質があるため,旅人に方向を教えてくれる道標になるからという説,もうひとつはこの木の葉柄には水が蓄えられており,刃を入れると水が出てくるため,乾燥地帯を旅してきた旅人がこの木から貴重な水を得ることことから名付けられたという説です.どちらの説にせよ,旅人にとってはとてもありがたい植物なのでした(現地の人たちはこの木を無駄なく使って家を建てたりするそうです).
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