霊場恐山
先週末恐山に行った.とはいっても,恐山に用があったわけではなく,田名部まつりに出かけだついでに寄ったというのが正解だ.私にとって実に十数年ぶりの恐山である.
恐山は下北半島の山中にある宇曽利湖およびその周辺のことで,別に恐山という名の山があるわけではない.比叡山,高野山とならぶ日本三大霊山に数えられる場所である.恐山といえば,イタコの口寄せを連想する人が多いと思うが,イタコが恐山にやってきたのは,第二次世界大戦後のことであり,今でも常時恐山にイタコがいるわけではなく,あくまで夏と秋の大祭のときに見られるだけである.
ホームページの記事にもあるように,私は学生時代「恐山肝試しツアー」などというバチあたりな企画をやったりしていたが,ここ十年以上は出かけていなかった(理由は特にない).昔は天然の肝試しができるくらい抜群の雰囲気をかもし出していた恐山であるが,最近は観光地化が進んでいるというウワサもあり,今回確かめに行った次第である.
この太鼓橋を渡ると,そこは恐山です.
むつ市内から車で山道を走ること十数キロ(途中急カーブに突然現れる地蔵や湧き水スポットがある),峠を過ぎて周囲が硫黄くさくなり,正津川を越えるともう恐山である(この正津川が別名三途の川である).駐車場に車を停めて,境内に入る.十数年前に比べてお土産物屋なども小奇麗になっており,観光バスで乗り付ける団体客も多いようだ.併設されている宿坊も立派に立て替えられていた.
(左)恐山の境内に入る.(右)あちこちに石が積んであり,硫黄臭が立ち込めます.
恐山の境内にはあちこちで湯が「ブシュブシュ」と湧き出しており,地獄の雰囲気を出している.途中には無間地獄や血の池地獄などがあった.地獄地帯を抜けると,宇曽利山湖畔にでる.ここが賽の河原,極楽浜で先ほどの地獄地帯とは打って変って,穏やかな雰囲気になった(宇曽利湖は強酸性の湖のため,プランクトンなどの生息が困難でそのため,水は凄く透明である).昔,夜中に賽の河原を歩いたことがあるが,月明かりで湖畔の白砂が恐ろしいほどに白く感じられ,この世のものとは思えない趣だった.
実は恐山には温泉がある.境内に4箇所の湯小屋があり,それぞれ泉質が異なる.参拝客は自由に入浴ができるが,昔は全て混浴だったため,あまり入浴客はいなかったのだが,今回行ってみたら,なんと男女別になっていた.「冷抜の湯」,「薬師の湯」が男湯,「古滝の湯」が女湯になっている(どの湯小屋もそれなりに入浴客がいた).あれっ?湯小屋はたしか4ヶ所あったはず,と思い入場の際渡されたパンフの地図を穴が開くほど見てみると,あったあった,ちょうど宿坊の裏手のようであった.さあ,どうやっていくんだろうと境内をうろついているうちに無事到着.ここが「花染の湯」で,ここのみ昔と同じく混浴だった.もっとも,こんな境内の外れの湯小屋にやってくる観光客などいるはずもなく,完全貸切状態の湯小屋であった(ここだけ混浴になっているのも,要するに誰も来ないからという気がした).
(左)花染の湯の湯小屋です.(右)貸切状態の湯小屋を堪能する私.
全体的に観光地化された恐山であるが,この唯一の混浴湯小屋が昔の雰囲気を醸し出していた.
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コメント
おおおおお。
これはこれは、昭和のミステリーすきな少年少女のあこがれの地、恐山でじゃないですか。昔はおっかない番組はここをはずさなかったですね。画像を拝見しますと他にお客がいなくて皇帝様とK様しかいないような雰囲気でございますが
どうだったのでしょう??
霊場アイス、心ひかれます。
どんな味だったか興味深深。合掌。
投稿: フミヲ@昭和の香り探求隊 | 2007年8月22日 (水) 13:07
フミヲ様こんばんは.写真で見ると観光客がいないように見えますが,これは人がいない方向を狙って撮った(または人が視界に入らない瞬間を狙った)ためで,実際には団体客を始め,大勢の観光客でごった返していました.唯一の例外が,境内外れにあった混浴の湯小屋で,ここのみ誰もいなくてひっそりしていました.
霊場アイスはあっさり味の何の変哲もないアイスに思えました(私には).恐山もなんとなく,かつての怖さが薄れてきているようです.
投稿: ビザ皇帝 | 2007年8月22日 (水) 18:32