病院坂の首縊りの家
GW中の5月3日夜に,NHKのBSで,映画「病院坂の首縊りの家」を放送していた.市川崑が監督で石坂浩二が金田一耕助を演じる横溝正史シリーズの5作目である.
私は中高生時分,ミステリー大好き少年で,ミステリーなら洋物・和物構わず読み漁っていた.特に和物では横溝正史は大好きで,当時角川文庫から出ていた横溝作品はほとんど全部買って読んだ(たしか100冊位はあったと思う).「八つ墓村」や「獄門島」などの金田一耕助モノももちろん好きだが,戦前の由利先生モノにも魅力的な作品があった.特に「真珠郎」は,その神秘的な雰囲気から怖くて夜寝られなくなった作品である.
さて表題の「病院坂の首縊りの家」は副題に”金田一耕助最期の事件”とかかれているとおり,名探偵金田一耕助の最後の事件となった作品である.名探偵の最後の事件となれば,やはりそれなりの感慨が沸く作品が多く,有名なアガサ・クリスティーの名探偵エルキュール・ポアロの「カーテン」やエラリー・クイーンの「○の悲劇」シリーズの探偵ドルリー・レーンの「最後の悲劇」などが有名だ.その一方,コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ最後の事件である「最後の挨拶」は,第一次世界大戦下ホームズがドイツのスパイを捕まえる話だが,驚くほどあっさりと終わってしまい拍子抜けさせられる(最後の挨拶というタイトルにもかかわらず,特にホームズの挨拶もない).実はドイルが当初考えていたホームズ最後の事件は別にあって,有名なモリアティー教授と格闘しながら滝壺に転落してしまう,「最後の事件」というのがそれである.この作品は名探偵ホームズと悪の帝王モリアティー教授の最後の戦いを描いた名作である(まさに仮面ライダーと死神博士が戦って相打ちになる感じ).ただ当時人気絶頂だったホームズを,このような形で唐突に葬ったドイルは世間の轟々たる非難を浴び,2年後に「空き家の冒険」でホームズを復活させている(このときのホームズの弁によると,教授との格闘で滝壺に転落する直前に,日本の柔術のワザで難を逃れたのだそうだ).
「病院坂の首縊りの家」は20年前に不本意な形で事件の幕引きをしなければならなかった金田一耕助が,20年後に再燃した事件に乗り出し,ついに最終的な解決に導くという,大河ミステリーである.今回映画を見たあと,原作を読み返そうと思って取り出してみたのだが,原作本の上下巻の表紙の絵を見て,風雅さんのブログの板橋の写真に似てると思ったのでした(カラーとセピア色の組み合わせの感じが).
左 病院坂の首縊りの家(上巻),右 同(下巻).元はカラーだった結婚写真が20年の歳月でセピア色になってしまったようです.
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コメント
おはようございます! ご紹介に預かりました風雅です(笑)
私も学生時代にはミステリー読みましたねー。 エラリー・クイーンとか、アガサ・クリスティーも読んだけど、洋物はカタカナの名前が覚えられなかったので(爆)和モノの方が多かったかも。 江戸川乱歩、松本清張、西村京太郎。 旅行好きだったので、時刻表トリックミステリーが大好きでしたね。
金田一耕助シリーズでは、八つ墓村の印象が強いんですが、映像の影響かな?
投稿: 風雅 | 2007年5月10日 (木) 23:19
風雅さんこんにちは,江戸川乱歩や松本清張いいですね.八つ墓村は渥美清が金田一を演じた作品のインパクトが強烈でしたね.テレビのコマーシャルでは濃茶の尼の「八つ墓のたたりじゃー!」というセリフが凄く強烈で,映画を見る前はよっぽどの重要人物なんだろうと思いましたが,実際は……、でしたね.私は今から江戸に向けて出発します.
投稿: コンスタンチヌス21世 | 2007年5月11日 (金) 10:47