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2007年4月10日 (火)

バッハとウルトラマン

 西洋音楽においてJ. S. バッハ(1685-1750)の果たした役割は極めて大きい.モーツァルトにせよベートーベンにせよ,バッハ以後の作曲家で彼の影響を受けていない人は皆無であろう.

 バッハは生涯に膨大な作品を書いているが,散逸してしまった曲も多くその全貌は闇の中である.バッハの作品目録としてBWVで始まる番号が有名である.これはバッハ全集と呼ばれる分類で,作曲順ではなくジャンル別に並んでいるのが特徴だ(BWV 1からまずは教会カンタータ,次いで世俗カンタータ,ミサ曲,オラトリオ等に進み,最後は分類困難な楽曲 (例 フーガの技法 BWV 1080)で終わっている).

 バッハ全集の編纂は19世紀半ばのメンデルスゾーンの時代から始まり,1900年に一応の完成を見た.これが旧バッハ全集と呼ばれるものだが,完成を急いだために偽作が混入していたり,音符の間違いがあるなど不完全なものだった.このため1950年から,新しいバッハ全集の編纂が始まり,2000年にやっと完成したのである.この新バッハ全集ではその後の研究で偽作とされた作品を除外し,音符の間違いなども訂正されている.このためにカンタータ15番 BWV 15やルカ受難曲 BWV 246などが削除されたのだが,その結果「バッハ偽作カンタータ集」などという私の琴線を大いに刺激するCDも発売されているのだった(笑).

 音符の間違いの方はたくさんあって一々挙げることはできないが,有名なロ短調ミサ曲BWV 232の第5曲 Et in terra pax の修正点を挙げておこう.第5曲の20小節目から始まるフーガで,旧バッハでは

Kyubach

となっているのが,新バッハでは

Shinbach

となっているのである(CDではほとんどの録音が新バッハだが,リヒターの1961年録音版は旧バッハである).旧バッハでは8分音符2つの所が,新バッハでは付点8分音符+16分音符となっている.

 さあ,そこで今回のタイトルである.この"Et in terra pax"のパターンの音符違いの曲が,なんと我々の身近にあるのである.鋭い人はピーンと来たと思うが,初代ウルトラマンの主題歌がそれである.

 ウルトラマンの主題歌はあまりに有名だが,実は2種類のバージョンがある.それはテレビの本放送版とその後のレコード盤である.どう違うかというとテレビ本放送版ではさびの部分が

Kyuman

であり,レコード盤では

Shinman

となっているのである.見事にバッハのロ短調ミサとオーバーラップするではないか.そんなわけで我が家では,このウルトラマンの主題歌の違いのことを「旧バッハ」,「新バッハ」と呼んでいる(笑).

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