大河ドラマと幕末物
今月22日から大河ドラマ「新選組!」の再放送がBSで行われている.大河ドラマの再放送自体が異例のことであり,いかにこの作品の人気が根強いかがうかがい知れる.
大河ドラマには「幕末物は当たらない」というジンクスがある.ここで言う「当たらない」とは視聴率が取れないということである.幕末という時代は,攘夷,天誅など時代を覆う空気が暗く,また,攘夷派・開国派・倒幕派・佐幕派等々,様々な思惑を持った人々が複雑に入り乱れて動いていく(当初攘夷派だったのが途中から開国派になったり,佐幕派のグループから倒幕派が出てきたりする)ため,歴史になじみのない人には,ストーリーを把握するのが難しいというのが理由かと思われる.
このジンクスに漏れず,「新選組!」も,視聴率的には決して高かったわけではない.ビデオリサーチによると,「新選組!」の年間平均視聴率は17.4%だったそうだ.渡辺謙主演の「独眼竜政宗」(39.7%),中井貴一主演の「武田信玄」(39.2%)は別格としても,「八代将軍吉宗」(26.4%),「利家とまつ」(22.1%),去年の「功名が辻」(20.9%)あたりと比較しても見劣りする数字である.そんな視聴率的には苦戦した作品でありながら,2006年1月には続編が放送され,今年再放送が行われている.このことは,作品の人気というものは決して視聴率だけではわからないことを良く示しているといえよう.
思うに作品の人気には視聴率の他に,視聴者の熱中度(熱狂度?)という要素も加味する必要があるのだろう.たとえ視聴率が30%でも,みんながBGM代わりに流している番組と,たとえ17%の視聴率でも,視聴者がビデオに録画しながら食い入るように観ている番組ではおのずから社会的インパクトは異なるだろう(勿論「新選組!」は後者.その他「宇宙戦艦ヤマト」もこの部類か?).
NHKが幕末物は当たらないといわれながらも,幕末物大河を作り続けているのは,たとえ視聴率が取れなくとも,その作品を心待ちにしているコアな視聴者の存在を知っているからなのであろう.ちなみに私にとって最も印象に残っている大河ドラマは,昭和55年に放送された「獅子の時代」である.これは菅原文太演じる会津藩士と加藤剛演じる薩摩藩士を中心とした庶民の視点からの幕末維新の物語である.この作品の影響で私は維新史では会津藩や新選組に肩入れするようになった(もっとも「獅子の時代」には新選組は出てこないが‥‥).
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