医学生のころ
実は今年から大学医学部の講義も受け持つことになった.私の担当は神経疾患の系統講義の中の”筋疾患”である.
医学部の教育は,初めに基礎医学(解剖学,生理学,生化学など)を学び,次いで臨床医学に進む.臨床医学では内科診断学と呼ばれる内科総論(身体所見の取り方,症候から考えうる疾患を列挙する鑑別診断等)を学んだ後,各分野(消化器系,循環器系,神経系など)の各論に入っていく.この各分野の様々な疾患を学ぶ一連の講義が系統講義で,これを無事に終えるといよいよ臨床実習に入るわけである.私が医学生だった十数年前には系統講義は4年生から5年生の夏くらいまでに行われていたのだが,学ぶべき内容が格段に増えた昨今では,3年生から4年生で系統講義を終えるらしい.私が担当する講義も3年生である.
講義のスケジュールは1年前に発表されており,準備期間は無限にあったはずだが,直前にならないと火が付かない性格から,先週くらいからようやく準備を始めている(ちなみに講義は1月25日の2講目と3講目である).2コマ180分で筋疾患(筋ジストロフィーやミトコンドリア病,炎症性筋疾患から重症筋無力症など)を全てやれというのだから,もの凄い詰め込み教育だ.自分が医学生だった頃の記憶からいっても,こんな短時間に理解せよというのが土台無理な話である(何がなにやらわからないうちに講義は終わり,結局卒試(卒業試験),国試(国家試験)の時にあらためて勉強した記憶がある).
講義といえば,昔は黒板に板書するスタイルが一般的であったが,字を書くのがもの凄いストレスになる私にとっては,パワーポイントを使った講義スタイルは大変ありがたいものであった(私の乱筆は昔から有名で,日本語の筆記体などと言われたものだった).
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