幕末未来人と山南敬助
先日ひの新選組まつりの話題を取り上げたついでに,今日は新選組総長山南敬助について考えてみた.
山南敬助は近藤勇にとって試衛館以来の同志であり,新選組では総長というナンバー2の地位にあった人物である.しかも彼は永倉新八や原田左之助のような食客ではなく,天然理心流に入門しており,沖田総司や土方歳三と同門ということにもなる.しかし,総長の地位にあった割りには彼の存在感は薄い.新選組で活躍した期間が短いのだから仕方ないともいえるが,それにしても近藤や土方は別格としても,斎藤一や藤堂平助,更には伊東甲子太郎あたりと比べても存在感の薄さは否めない.
山南敬助は仙台藩を脱藩し,千葉周作の下で北辰一刀流を学んだと言われ,免許皆伝の腕前であった.学問にも秀で,その一方で性格は温厚であったという.今で言えば非の打ち所のない人物であるが,幕末のような個性派が幅を利かせる時代ではどうしても地味な存在になってしまうのかもしれない.そんなわけで新選組を扱った映画やドラマでもやっぱり地味な存在なのであった.そんな中,2004年の大河ドラマ「新選組!」で山南敬助を演じた堺雅人さんのインパクトは大きいのかもしれない(私の周りでも,アレで山南敬助の存在を知ったという人は多いのである).
しか~し!私にとっての山南敬助は,なんといっても少年ドラマシリーズ「幕末未来人」に出てきた山南敬助である.幕末未来人は昭和50年代の高校生二人組みが幕末にタイムスリップしてしまうお話であるが,二人組みの片割れがなんと!新選組に入隊する.そして,ちょっとした事件で沖田総司を死に至らしめてしまうのだが(悪い奴の陰謀で歴史が徐々に変わってしまい,文久3年に沖田が死んでしまう),屯所で沖田の死を知った山南が烈火のごとく怒って件の高校生に,「腹を切れ!自分でできないのなら,俺が冥途に送ってやる」,更には助命に駆けつけた少女(古手川祐子が演じている)にも「沖田の供養に,その可愛い首を刎ねてやる」などと過激なことを言い,近藤勇にたしなめられていた.
考えてみれば昭和50年代の新選組といえば,殺伐とした暗殺集団というイメージが強く(何といっても正義の味方”鞍馬天狗”の敵は新選組だったのである),そんな集団の総長と言えば,さぞ恐ろしい人物だったに違いないというイメージがあったのである(幕末未来人には新選組幹部として近藤,土方,沖田,山南の4人が登場するが,圧倒的に山南敬助が過激である.一番温厚なのは沖田総司).
少女を演じる,今から30年前の古手川祐子さんです(なんて若いんだ).
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コメント
おもしろい山南さんですね~。
土方さんよりも鬼☆見てみたいです。
投稿: 浅葱 | 2007年1月20日 (土) 05:05
幕末未来人の新選組は近藤勇を中心に土方歳三と山南敬助が対等の関係のように描かれています(よく近藤勇を真ん中にして3人で酒を飲んでいる場面が出てきます).性格描写も静の土方と動の山南というイメージで,現代の認識とはかなり違っています(なにせ昭和52年の作品ですから).
投稿: コンスタンチヌス21世 | 2007年1月20日 (土) 15:22