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2006年12月 7日 (木)

モーツァルトとフリーメイスン

 NHK BSの「毎日モーツァルト」も12月5日(モーツァルトの命日)を迎え,いよいよ大詰めに差し掛かった感がある.この日の曲は“アヴェ・ヴェルム・コルプス”であった.なかなかいい選曲といえよう.久しぶりに案内人の山本耕史さん自身が登場するシーンもありKも喜んでいた(秋の例の特番の際に撮影したと思われる,バーデンの広場を語りながら歩くシーンである).

 アヴェ・ヴェルム・コルプスがK.618であり,以後の作品はケッヘル番号で言えば,ドイツ語による小カンタータ(K.619),歌劇「魔笛」(K.620),歌劇「皇帝ティトスの慈悲」(K.621),クラリネット協奏曲(K..622),フリーメイスンのための小カンタータ(K..623)を経て,最後の曲レクイエム(K..626)に行く流れとなる(その他未完のホルン協奏曲ニ長調もこの時期の作品と考えられている).この時期の作品は声楽曲が多く,しかもフリーメイスンのための曲が2曲もあるのが特徴である(K.620の歌劇「魔笛」もフリーメイスンの思想を色濃く反映した作品である).

Mateki2_2ウィーン国立歌劇場での魔笛の舞台(2006年6月).背景のでっかい目はフリーメイスンの真実の目を表しているのでしょう.

 モーツァルトがフリーメイスンの熱心な会員であったことはよく知られている.フリーメイスンはイギリスの石工の組合を元祖とする団体で,自由・平等・博愛を旗印にした結社である.欧米では著名人の会員が多いため,アメリカ独立戦争やフランス革命にもメイスン会員が多く関わっていたといわれている.仲間同士しか知らない秘密の儀式などがあることから,日本では“秘密結社”であるとか,様々な陰謀を働く団体などと考えられている節があるが,実際のフリーメイスンの組織は世界中にグランドロッジが並立しており,全世界のロッジを統括するような組織はない(ロッジというのはその地域のフリーメイスン構成員(フリーメイソンリーという)の集まるところ).お互いのグランドロッジは全て対等で,相互に承認しあうことでフリーメイスンとしての結束を守っているらしい.このためトップの指示で世界中のフリーメイスンが動くなどということはありえないそうである(フリーメイスン自身は自らを非公開団体と称している).

Mateki1_1賢者ザラストロはフリーメイスンの知恵の象徴です.私もザラストロのような人間になりたいですが,まだまだ修行が足りません(笑).

 そして昨日12月6日に「毎日モーツァルト」で取り上げられた曲が,フリーメイスンの曲であるドイツ語による小カンタータ K.619であった.これはレーゲンスブルグのロッジの依頼で作曲された曲である.実は我が家には「NHK毎日モーツァルト」という番組の本があり,この巻末に番組の放送予定と取り上げる曲が載っている.それによると,当初この小カンタータK.619は予定になかったようである.出版後に変更になったのであろう.深い意味はないと思うが,世の陰謀論者達が「これはフリーメイスンがNHKに圧力をかけて,急遽放送させたに違いない」と言い出すのではないかと不安である(笑).

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