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2006年12月14日 (木)

イタリアの聴衆

 先日ネットの記事を見ていたら,ミラノ・スカラ座の歌劇「アイーダ」の公演で,観客のヤジに怒った主演の男性歌手がステージを放り出して退場してしまったという記事が出ていた(ヤジに怒った主演歌手、ミラノ「スカラ座」を途中退場(読売新聞)).

 イタリアの聴衆の過激さは昔から有名である.特にオペラの公演なんかでは,いい演奏をすると,曲の途中でも大歓声が巻き起こりアンコールを求める.その一方ダメな演奏なら容赦ないブーイングも起こる.だから歌手にとっては全く気が抜けない聴衆である.実際にアリアごとに歓声・アンコールが巻き起こり,夕方7時に始まったオペラが,終演したときには午前1時を過ぎていたなんていうこともあるらしい(日本では会場の使用時間がウルサイため,午前1時終演なんて無理だろう).

 もっとも,いい演奏で歓声,ダメならブーイングというように納得がいくものなら問題はないが,イタリアの場合そうでないことも多いらしい.すなわち個人的な好き嫌いなどその他の理由でヤジを飛ばす厄介な聴衆がいるのである.有名なヴェルディの歌劇「椿姫」の初演では,ヒロインのヴィオレッタを演じた歌手が恰幅が良すぎて,とても肺病で死ぬように見えなかったことからヤジが飛びまくり,散々な初演だったといわれている.また,ロッシーニの「セビリアの理髪師」初演の際にも激しいヤジが飛びまくり,大失敗に終わったと伝えられている(これについては,ロッシーニ以前にパイジェッルロが「セビリアの理髪師」をオペラ化しそれなりに人気があったため,パイジェッルロ派の人々が組織的に騒動を起こしたといわれているが異説もあるようだ).

Verdi 左 ベルディの有名な肖像画

 翻って今回のスカラ座の騒動,記事によると男性歌手(フランス人のロベルト・アラーニャという有名な人)が最初の独唱(エジプトの若き将軍ラダメスが歌う有名なアリア,清きアイーダと思われる)が終わったあとに「恥を知れ!」というヤジが飛んだらしい.演奏がひどかったのか,それともフランス人がスカラ座で歌うことに不満がある国粋主義的イタリア人が騒いだのか,真相はよくわからないのだった(ちなみに演奏の方は急遽代役が立てられたものの,舞台衣装がないためジーンズ姿で歌ったという.ジーンズ姿のラダメスというのも,それはそれで斬新だなぁ).

 ちなみに私も所属している合唱団,盛岡バッハカンタータフェラインでは数年おきに外国への演奏旅行を行っているが,イタリア演奏旅行に行くかといわれると,二の足を踏むであろう(笑).

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