レオポルド・ブログ
大作曲家W. A. モーツァルト生誕250年の今年,NHKBSで「毎日モーツァルト」という10分間番組を放送しており,好評を博しているようだ.案内人に人気俳優の山本耕史さんを起用していることも人気の理由のひとつと思われる.この番組と連動する形で,夏頃に開設されたのが”アマデウス・ブログ”である.これは,”もし18世紀後半にインターネットがあって、Blogが普及していたら…” モーツァルトはこんなブログを書いていたのではないか,というコンセプトで創められた,一種の知的な遊びである.
モーツァルトに関しては,膨大な書簡が残されており(中には品性を”?”ものも… 笑),それを分析することによって,こんな性格だったんだろうということも判っている(結構自尊心が高い割りには,人がよくて寂しがり).このアマデウス・ブログはそういったモーツァルトのキャラクターを生かしつつ,当時の出来事を面白おかしく書いている.
そこで考えたのだが,もし18世紀後半にインターネットがあって,ブログが普及していたら…,アマデウスの父,レオポルド・モーツァルトもまた,ブログを書いたんじゃないかということである.題して”レオポルド・ブログ”である.彼の性格から考えて,こんなブログになったんじゃないかと思う.
レオポルド・ブログ
1781年9月1日
ウィーンの息子のこと
こんにちはモーツァルトです.今日はウィーンに住んでいる,私の息子の話です.
私の息子は”ヴォルフガング=アマデウス”といいます.小さい頃から結構音楽の才能があって,父親の私が言うのもなんですが,これは大物になると思ったものでした.そこで,この子にはなるべく多くの音楽の経験をさせたいと思い,ヨーロッパ中を巡って勉強させたのです.私もサラリーマンですから決して裕福ではないんですが,この子のためと思い何とかお金を工面して頑張りました.時にはあの子に曲芸まがいの演奏をさせてお金をもらったこともありましたが…(泣).
そんな甲斐あって,あの子も立派に成長し,最近まで私と一緒に,ここザルツブルグの宮廷楽団員として働いていたんです.あの子は作曲が得意で,教会で演奏するミサ曲や交響曲など,結構いい曲を作っていました.親バカといわれるかもしれませんが,私にとっては自慢の息子です.
ところが,そんな息子が今年のの5月にザルツブルグの大司教であるコロレド卿と喧嘩して出て行ってしまったんです.私もなんとか大司教にとりなして,あの子にも謝るように言ったんですよ.そしたら「自分にもプライドがあるから許せない」とか,「これを分かってくれないなら,もうお父さんじゃない」なんて言うんです.まぁ以前からあの子は「こんな田舎じゃ何もできない」とか,「自分はオペラが書きたい」とか,いろいろ不満があったようですが,世の中には秩序というものがあるわけで,若いあの子にはまだ分からないんですかねぇ.もしかしたら小さい頃から甘やかしすぎたんじゃないかと反省している今日この頃です.
そんなわけで,息子アマデウスは今ウィーンに住んでいます.クラヴィーアの教師をやったりして,なんとか一人で生活できているようで,父親としては一安心ですが.できるなら故郷に帰ってきて欲しいものです.
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