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2006年8月15日 (火)

モーツァルトと小泉純一郎

 今日8月15日は終戦の日,日本にとって特別な日である.そういうわけではないだろうが,今朝またしても”毎日モーツァルト”が流れてしまった.小泉首相の靖国神社参拝のニュースに吹き飛ばされてしまったのである.政治的な理由でこの番組が流れたのは7月5日の北朝鮮のミサイル発射についで2回目である.政治的な話題は本ブログの趣旨にあわないので普段は載せないのだが,今日は特別な日ということでお許し願いたい.

 今朝のニュースを見た私の感想は「何だかなー」であった(実はこれ,7月のミサイル発射の際に受けた感じと極めて似ている.理由は後述).私は昔からプラモデルを作ったり,今でも戦跡を見に行くこともあったりと軍事マニアの部類に入るのであるが,正直言って靖国神社に対する思い入れはあまりない(旧軍の兵器等が展示されている博物館的な興味はあるが).それはいわゆる靖国史観とA級戦犯の問題が引っかかるからである.靖国神社は基本的に軍人・軍属が祭られている軍のための施設である(なぜか文民のA級戦犯も祭られているらしいが,一方で原爆や空襲で亡くなった方や沖縄や外地で戦闘に巻き込まれて亡くなった方は入っていない).もちろん祭られた英霊の99%は一銭五厘の赤紙1枚で召集され,心ならずも戦陣に散った人たちである.しかしそんな彼らと,自らの意思で軍人を志し,軍の中枢にいて国を動かした人たちを一緒に考えることはできないと思う.

 A級戦犯の問題に関しては,「東京裁判は連合国側によって一方的に押し付けられたものだ」という意見が今でも見られる.それはその通りなのだが,では東京裁判でA級戦犯とされた人物が全く何の罪もないのかと考えれば,決してそうは言えないのではないか.太平洋戦争が自衛のためやむをえない戦争であったと考える向きが今でもある.昭和16年の状況のみを考えればそうかもしれないが,歴史は流れであり何もないところから急にあの昭和16年の状況になったわけではない.それ以前の昭和8年の満州事変,昭和12年の盧溝橋事件に始まる日中戦争の行き着いた先が昭和16年だったのである.それゆえ昭和16年夏の段階では戦争になるのは必至だったかもしれないが,それ以前ならいくらでも外交的,政治的に解決するチャンスがあったはずである.開戦前,陸海軍ともにアメリカとの戦争になった場合,勝機はないと認識していたのだから,なおさら努力すべきだった.それをしないままずるずると戦争に突入し,結局国を滅ぼしたのだから当時の軍や政府首脳の責任は極めて重いと言うほかない.つまりは東京裁判が連合国によって押し付けられたから(たしかに東京裁判の判決はかなり政治的で正義の裁判とは言えない部分も多い)と感情的に反発しA級戦犯を擁護するのではなく,仮に東京裁判が無かったと考えて,我々日本人自身によるあの戦争に対する総括を行うべきなのである.

 しかしながら日本では戦争が終わるとすぐに「一億総懺悔」というワケのわからないスローガン(?)が出てきて,あの戦争は国民みんなの責任といわんばかりにたくみに戦争責任が隠されてしまったのである.一億総懺悔とはおかしな話で,現代日本なら政府首脳は一応選挙で選ばれた人たちがなっており,その人たちの責任も,まあ突き詰めれば有権者である国民の責任と言えなくもない.しかし当時は25歳以上の男子にのみ選挙権があり(女性には選挙権が無かった),しかも5・15事件以来政党政治が崩壊してからは,国民によって選ばれた人物が国の中枢をになったことはない(選挙で選ばれた議員は大半が大政翼賛会であり,一部の気骨ある議員は活動を妨害されたり迫害を受けた).国民が懺悔する理由などどこにもないのである.懺悔すべきは国策を誤った政府や軍の首脳らであり,我々は戦争に至った経緯と責任の所在を明らかにするための議論を行わなくてはならないのである(もちろんこれは近隣諸国がどう言うからではなく,あくまでも日本人自身で決着をつけるべきものである).

 そんなわけであるから,小泉首相が言う,不戦の誓いをするために靖国神社を参拝するという議論に賛同できないのであった(不戦の誓いなら,毎年政府主催でやっている天皇陛下も出席する戦没者追悼式じゃだめなのか.また不戦を誓う相手も靖国の軍人よりも,罪無くして戦火に倒れた一般国民や戦場となったアジアの人たちの方がより重要ではないのかと感じる).

 ここで最初の話題に戻る.多くの人たちが「よせばいいのに」と思っていることを敢えて強行するという点が,何となく北朝鮮のミサイル発射に通じるものがあると思った次第である(もしかしたら小泉純一郎と金正日は気が会うかもしれない.二人とも芸術を愛するそうだから 笑).果たして番組を流されたモーツァルトはどう思っているのだろうか.我々日本国民に祟るのだけは勘弁してほしいものだ(ミサイル発射後北朝鮮で水害が起こったそうだが,これも祟りなのか?).

Photo_4

 8月の毎日モーツァルトは夏休み特集で今週はリクエスト(皮肉にも18日はミサイル発射で流れた回が再放送される),来週は声楽曲特集らしい(毎週月曜には山本耕史氏も顔を見せており,ウチのKも大喜びである).

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